庄屋さんの七味を、選ぶ理由。
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長野の七味と聞くと、善光寺の八幡屋礒五郎を思い浮かべる方も多いと思います。信州のお土産として、日々の食卓の薬味として、長く親しまれてきた七味です。
信州には、もう一つ、私たちがお伝えしたい七味があります。庄屋忠左衛門本舗。私たちが「庄屋さん」と呼び、山肴やまきの店頭でおすすめしている七味です。
庄屋さんは、天保10年(1839年)創業。長野県筑北村の庄屋忠左衛門本舗は、今も畑で素材を育て、七味を仕立てています。美ヶ原の裾野にある自社農園で、代々、唐辛子と山椒を育ててきました。
畑の中心は山椒です。樹齢40年ほどの木を約200本、大切に育てています。唐辛子は、自分たちの畑で育てたものに別の唐辛子を合わせて、七味に仕立てています。
原料は、けしの実・麻の実・胡麻を除き、国産のものを使っています。そして、国産を選ぶだけでなく、この土地で育てられるものは、なるべく自分たちで育てる。土地や気候によって育てられないものもある中で、自分たちが作ったものを届けたい。その姿勢が、庄屋さんの七味づくりの根にあります。
私たちが惹かれるのは、素材を選び、育てるところから向き合うその仕事と、香りの良さです。いつもの食卓で使う薬味だからこそ、その香りまで楽しめるものを選びたいと思っています。
畑で素材を育て、七味に仕立てる。食卓で何気なく手に取る薬味にも、畑があり、それを育てる人がいる。小さな缶の向こうに見えるその仕事に、私たちは惹かれました。
庄屋さんの七味には、選ぶ楽しみもあります。
「雅」は、生姜、紫蘇、西洋山葵などを組み合わせた香り七味。ひと振りに、さまざまな素材の香りを重ねる工夫があります。
「宴」は、高知県産の柚子をたっぷり配合したゆず七味。
実際にふたを開けると、その香りの強さに驚きます。開けた瞬間に、柚子の香りがはっきりと立ち上がる。柚子の香りを存分に楽しみたい方に、ぜひ味わっていただきたい七味です。
どちらも、信州そばに合わせて楽しんでいただきたい七味です。
そばを楽しむ土地、信州には、こんな七味もあります。そばの香りを味わい、途中で七味をひと振り。どの香りを添えるかにも、その人の好みが表れます。庄屋さんの七味を知ってから、いつものそばを食べる楽しみが、私たちは少し増えました。
缶に描かれた松本城も、私たちが好きなところです。食卓で手に取るたびに、旅先で見たお城や、松本を歩いた時間を思い出す。香りを楽しむ小さな缶に、この土地の景色も重なります。
自分の食卓に置くときも、誰かに贈るときも、好きな香りや、いつもの食事を思い浮かべながら選ぶ。小さな缶に、畑で育てる人の仕事が詰まっていると思うと、手渡すときにも、その話を少し添えたくなります。
山肴やまきが大切にしたいのは、一品あることで、普段の食事が少し特別になること。旅先で出会った土地や作り手の仕事が、帰ってからの食卓にも続いていくことです。
信州の旅のお土産に、自分の食卓に、誰かへの小さな贈り物に。
素材を育てる人の仕事とともに、ひと振りを楽しむ。庄屋さんの七味を、私たちはそんな思いで選んでいます。