柚木元の松茸コースで供された松茸。

松茸の秋を、いつもの食卓へ。

山肴だより / 信州の秋

今年の信州は雨が多く、晴れの日が待ち遠しい秋です。その雨が恵みになったのか、今年はとてもいい松茸が採れています。

秋の食べものを思い浮かべるとき、松茸には少し特別な場所があります。毎日の食卓に並ぶものではないけれど、その名前を聞くだけで、季節が変わったことを感じる。何と合わせようか、誰と食べようか。食べる前から、そんな時間が始まります。

柚木元の松茸コースで供された松茸。
柚木元の松茸コースで供された松茸。

信州の山には、松茸のほかにも、アカヤマドリや香茸など、市場にはあまり出てこないきのこが育ちます。それぞれに香りや味わいがあり、食卓にのぼれば、その日の中心になる。それでも、信州の秋の主役といえば、やはり松茸です。

飯田市の日本料理 柚木元には、亭主・萩原貴幸さんの料理を求めて、日本各地から、そして海外からも人が訪れます。とりわけ松茸の秋は、この時期だけの味を楽しみに、多くの人が集まる季節です。

朝採れの松茸を、その日のうちに味わえる。柚木元の秋の料理には、そんな土地との近さがあります。それを支えているのは、山で採る人との信頼関係。よい松茸を、よい状態で食べてもらうために、山の仕事と料理人の仕事がつながっています。

松茸の香りや食感はもちろん、その日、その土地の食材を萩原さんがどう仕立てるか。そこにも、柚木元を訪れる楽しみがあります。

柚木元の料理の中に、おやきがあります。信州では身近な食べものですが、ここでは、季節の食材を包む一品です。皮は、女将のお祖母様が家庭で作っていたレシピがもとになっています。季節の食材を包む料理に、家で受け継がれてきた味が重なる。その背景を知ると、一つのおやきの見え方も少し変わります。

柚木元の松茸コースで供された松茸おやき
柚木元の松茸コースで供された松茸おやき

柚木元の席で味わう料理の仕事に、家でも触れられる。山肴やまきでご紹介している松茸のおやきには、そんなよさがあります。

山肴やまきでご紹介している松茸のおやき。
山肴やまきでご紹介している松茸のおやき。

もう一つ、松茸の佃煮があります。白いご飯に少しのせて。お酒とともに、ゆっくり味わうのもいいと思います。特別な食材でも、大げさに構えなくていい。いつものご飯や、気に入った器と一緒に楽しむ。そんな食べ方にも惹かれます。

松茸の佃煮を、白いご飯に添えて。
松茸の佃煮を、白いご飯に添えて。

旅先で出会った味を、帰ってから食べる。食事の途中で、歩いた町や、立ち寄った店のことを思い出す。信州の秋を持ち帰るとしたら、こういう形もあるのだと思います。

山肴やまきが大切にしたいのは、一品があることで、普段の食事が少し特別になること。松茸のおやきや佃煮も、そんな一品として、食卓に置いていただけたらと思っています。

山肴やまき信州の土地と、作り手の仕事を食卓へ。
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